応援メッセージ

SUPPORT MESSAGE

Mimoさんに期待しています

周産期・新生児医療の著しい進歩により、超早産児、重症新生児仮死児の救命率は顕著に向上しましたが、経管栄養、酸素療法、気管切開、人工呼吸管理などの高度な医療的ケアを必要とする(超)重症児が増加するという現実も生じています。 新生児集中治療室(NICU)および重症心身障害施設の病床不足、と同時に我が国は超高齢化社会に猛スピードで進んでおり、医療の方向性を在宅医療へと大きく舵を切ったため、重症児も在宅医療への移行が必然となりました。

しかしながら、小児には介護保険は適用されず、患者数自体は少ないのに小児特有の疾病が多く、在宅人工換気など必要となる医療密度が高い、という特 徴があるため、実際に在宅医療を必要とする子どもたちに訪問診療を行うことのできる診療所、訪問看護ステーションは極端に不足しています。
そのため、家族、とくに母親への肉体的・精神的負担は極めて大きくなります。
2016年の診療報酬改定で新たに(準)超重症児について記載され小児重症患者の訪問看護が強化されようとしていますが、需要と供給が極めてアンバランスな状況がつづくと思います。

いま、NICUでは「ファミリーセンタードケア」が重視されています。
いままでの医療者中心のNICUではなく、家族を中心にしたNICUで赤ちゃんたちを育てながら治療するといった概念であり、赤ちゃんの予後にもよいことが示されつつあります。
厳しい新生児期や手術をともにがんばって乗りこえ、重症児となった子どもたちもできれば自宅で家族と一緒に暮らしてほしいと願います。家族と同じ空間でいろんなものを見聞きして、ときにはお散歩する。
しかも、家族への負担をできるだけ少なく、なるべく再入院せずに家庭で安全に暮らしてほしい。
そのためには優しく手厚い支援、つまり訪問診療、訪問看護、訪問リハの充実が不可欠なのです。

このたび、かつて我々と当院NICUでともに赤ちゃんのために働いた看護師さんたちが、小児専門の訪問看護ステーションを立ち上げました。
彼女たちにはものすごく期待しています。Mimo最初の患者様として、当院NICUで育った重症な赤ちゃんを託しました。場所は違っても、仕事内容は異なっても、目指すところは同じです。家族の真ん中で子どもたちがハッピーに過ごすためにがんばりましょう。まだまだ若さいっぱいながら、小児看護の経験もしっかり積んできた彼女たちは、きっと期待どおりの看護を提供してくれるはずです。Mimoスタッフと患者様、そのご家族のしあわせを祈っています。

独立行政法人 国立病院機構 岡山医療センター 新生児科 影山 操 医長

こどもにしてあげられること

この文章をご覧になっている方の中には、こどもさんが医療的ケアや特別な配慮を必要とされている方もいらっしゃると思います(例えば、吸引、経管栄養、人工呼吸器、長時間の点滴など)。私達は少しでもお家の方の負担が減り、こどもさんとの生活が長続きできるように、ご本人なりの成長を見ながらあたたかな時間が過ごせるように、お手伝いできればと考えております。

毎日のお世話が無事終わることももちろんですが、皆さんと一緒に考えたいことがさらにあります。こどもさんが大きくなったら…。
遠い先を考えることが難しい方は、ちょっとだけ先のことでも構いません。
「この子にどう生きてもらいたいか」「この子はどう生きたいと思っているか」。少し考えてみませんか。

・・・そして小さな時からちょっとずつちょっとずつ、こどもさんにしてあげられる大切なことがあります。
★ いろんな人からのケアを受け入れられる心・体にしてあげること
★ こどもに、ケア・応援してくれる仲間を残してあげること

あるお母さんは「こどもに人垣(仲間やよく知ってくれる人々が集まった垣根)を残してあげたい」と言われていたそうです。
ぜひ訪問看護師やその他の支援者の方と、一緒にやっていきましょう。こどもさんに関われる人が増えるよう、誰でもやりやすいお世話の方法を考えたり、こどもさんの得意なこと・苦手なこと・体の特徴をとらえて周りの人に分かりやすく伝えるなどは、とても大切なことです。
どこでも、誰とでも、その子らしく楽しく生活できるように。お家の方と地域全体でこどもさんを支えたいと思っています。

医療法人つばさ つばさクリニック岡山 訪問診療・小児科・内科 中山 ふみ 院長